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未解決事件ファイル

三重県朝日町女子中学生殺害事件 (2013年8月)

2013年8月29日、三重県朝日町の空き地でパトロール中の警官が10代とみられる女性の遺体を発見した。県警は翌30日、この女性が25日から行方不明になっていた同県四日市市山村町の中学3年、寺輪博美さん(当時15歳)と確認したと発表した。

空き地で発見された財布からは現金数千円が奪われており、県警は強盗殺人、死体遺棄事件として四日市北署に捜査本部を設置、本格的な捜査を始めた。

捜査本部によると、司法解剖の結果、死因は窒息死の疑いが強く、25日深夜に殺害されたと推定される。首を強く絞められた跡がないことから、口をふさぐなどをして殺害された可能性があるという。

寺輪さんは発見当時、下着は着用していたがその他の衣服をつけず、仰向けに倒れており、目立った外傷はなかった。遺体のそばからは、25日に着ていた服やかばん、財布、携帯電話などが見つかった。財布からは札がなくなっており、小銭だけが残されていた。寺輪さんは22日が15歳の誕生日で、両親からもらった小遣いで買い物をしたが、財布には現金数千円が残っていたとみられるという。

寺輪さんは25日朝から友人と遊びに出かけ、午後からは別の友人と四日市市内で開催された花火大会に参加。午後10時45分ごろ、友人と自宅最寄りのJR朝日駅近くのスーパーの前で別れた。徒歩で帰宅途中に行方不明になり、27日夜に父親が所在不明の届け出をしていた。寺輪さんは会社員の父親(45歳)、看護師の母親(45歳)、大学生の兄(19歳)と高校生の姉(16歳)との5人家族。

寺輪さんはスーパーで友人と別れた際、スマートフォンの通話アプリ「LINE(ライン)」で姉に「今から帰る」というメッセージを送り、帰路についた。 スーパーは午前0時までの深夜営業。その前を片側1車線の県道が東西に走る。スーパーの向かいにはコンビニエンスストアがあり、県道に沿って住宅も並ぶ。夜間でもこの辺りは比較的明るい。ところが、スーパーを50メートルほど進むと、街灯も人通りも途端になくなってしまう。点在する民家から漏れてくる電灯の明かり以外はまったくの暗闇だ。

寺輪さんの生存をうかがわせる最後の痕跡となったのが、25日午後10時55分にLINEで友人に送られたメッセージだ。カラオケに行くとの連絡に「いいね」との返信があった。その22分後の11時17分に、帰宅が遅いのを心配した姉がスマートフォンに2回電話をかけたが、呼び出し音は鳴ってもつながることはなかった。

遺体が遺棄されていた空き地はスーパーから歩いて約10分。県道に面した南側に高さ5メートル前後の雑木が生え、ちょうどドライバーらの視界をさえぎる形になっている。遺体発見前日の28日午後、犬の散歩で空き地の脇を通ったという女性は「遺体にはまったく気づかなかった。ここは夜になると本当に真っ暗。足元も見えないくらいで怖い。地元の人でも夜は近寄らない」と証言した。

現場の空き地から寺輪さんの自宅までは西にさらに約700メートル。スーパーからの帰路だと、空き地付近がちょうど中間地点にあたる。寺輪さんがLINEを使った30分後には、すでに携帯電話の電源が入っていない状態だった。距離にして約700メートル、時間にして30分の間に何者かに襲われた可能性が高いとみられる。

警察は、面識の無い人物に現場付近で突然襲われた可能性があるとみて、寺輪さんの所持品からは指紋を、現場付近からは複数の髪の毛や足跡、タイヤ痕などを採取し、関連を詳しく捜査したが、有力な手がかりは掴めなかった。

しかしその後の調べで、財布の内側やスマートフォンから、寺輪さん以外の指紋が検出されたことが分かった。過去に県警が採取し保存していた指紋と合致したものは現時点で確認されていないが、財布の現金が全てなくなっていることなどから、四日市北署捜査本部は事件に関与した人物につながる可能性があるとしている。



また、寺輪さんが襲撃されたとみられる25日深夜の時間帯に、現場の脇道に進入する不審な軽乗用車が目撃されていたことも判明。同じ時間帯にこの脇道に住人や車が入ることはほとんどないといい、捜査本部は目撃された車が事件に関係している可能性もあるとみている。

事件から3か月が経過した11月28日、警察庁は犯人逮捕に結びつく有力情報の提供者に最高300万円の公的懸賞金(捜査特別報奨金)を支払うことを決めた。期間は11月28日から1年間。三重県警のホームページなどに広告を掲載したほか、全国の交番や市役所などに約2万5千枚のポスターを掲示した。捜査本部は110人態勢で捜査を続けており、これまでに5000人を超える捜査員を投入、400件以上の情報提供があったが、容疑者特定に至るようなものはないという。
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(2014.3.3更新)
県警特別捜査本部は2014年3月2日、現場近くに住む事件当時高校3年の少年(18歳)を強盗殺人の疑いで逮捕した。今年に入り、捜査線上に少年が浮上。少年は、通っていた高校での卒業式を1日に終え、特捜本部は2日朝から任意で少年の事情聴取を開始。同時に自宅を家宅捜索していた。

少年は当初、「知らない」などと事件への関与を否定していたが、2日夕方頃になって、一転して「自分が犯人です。1人でやった。金目当てだった」などと供述。少年は「女子生徒とは面識がなかった」などと話しており、特捜本部は、事件は場当たり的に行われたとみている。少年は3日午後、津地検に送検された。

少年のスマートフォンの連絡先に寺輪さんの名前の登録はなく、ネット上の交流を示すものも見つかっていない。少年は寺輪さんが殺害されたとみられる2013年8月25日夜、友人と外出していた。寺輪さんは四日市市の会場で花火を見学後、JR朝日駅で列車を下車。その後、歩いて帰宅途中に襲われた可能性が高い。特捜本部は、少年が遺体遺棄現場近くで寺輪さんを見かけて、事件に及んだ可能性があるとみている。少年は運転免許を持っておらず、当時は徒歩か自転車だったとみられる。

少年に補導歴はなく、事件後もいつも通りに学校に通っていたという。2日の取り調べには淡々と応じていたが、同日の段階では被害者への謝罪の言葉などはなかったという。

少年と高校の同級生だった女性(18歳)は「成績も良く、優しい人という印象。クラスでも人気があった。事件を起こすなんて信じられない」と驚いた。少年は1日、卒業式に出席していた。この女性によると「(少年は)みんなと別れるのが悲しいという様子も見せていたし、クラスの子と写真を撮って笑ったりもしていた」という。

少年は祖父母や両親らと暮らしており、地元中学校を卒業後、高校に進学した。

近くに住む無職女性(82歳)は「良い子で、2月27日の昼前に後ろ姿を見かけた時も、変わった様子はなかった。事件が解決に向けて動き出すのはうれしいはずなのに、複雑な思い」と話した。別の無職女性(70歳)は「背が高くて可愛い顔をしていた。少なくとも中学時代はまじめな子で、家族で一緒に買い物にいくなど仲も良かった。信じられない」。別の女性(71歳)によると、中学では運動の部活に入るなど、スポーツ万能だったといい、「昔は近所で友だちと自転車に乗って遊んでいたが、高校生になってからは見かけなくなった」と言う。

また、この少年は事件発覚の直後、インターネット上に事件とは無関係と受け取れる書き込みをしていたことが分かった。遺体発見直後、少年がツイッターに「めっちゃやばいやん」「女子中学生らしい」「手の震え止まらん」などと事件とは無関係と受け取れる書き込みをしていた。
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(2014.4.19更新)
少年は、その後身柄を津家庭裁判所に送られていたが、少年審判では事件の動機について、金目的ではなく「わいせつ目的だった」と説明をしていることが分かった。

殺意はなかったと一貫して否定していることから、強盗殺人との認定は見送ったが、津家庭裁判所は、成人と同じ刑事裁判を受けさせるのが相当と判断し、4月18日に少年の身柄を強制わいせつ致死と窃盗の疑いで津地方検察庁に送った。今後、検察が取り調べを行い、起訴するかどうかを判断する。

裁判長は、審判での少年の話や事件の状況などを踏まえ、「被害者がそのうち意識を回復するだろうと考え、意識を失った状態の被害者を放置した」と判断した。



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