未解決事件ファイル
江戸川区女性監禁行方不明事件(2008年4月) |
2008年4月5日、東京都江戸川区の石田佳奈子さん(当時19歳)が出会い系サイトで知り合った男に覚せい剤を打たれて車で連れ回され、その後行方が分からなくなるという事件が発生した。
石田さんは行方不明になった翌日6日に、取り乱した様子で家族や警察、友人に助けを求める電話をかけている。「知らない男に連れまわされた」、「覚せい剤を打たれた!助けて」、「2人組の男にラブホテルに連れ込まれそうになった」と話したが、薬の影響からか呂律が回っておらず、警察が居場所を尋ねたところ石田さんは「分からない。分からない。」と取り乱している様子だった。
電話を受けた両親はすぐに警察に通報。警察は石田さんの通話履歴やかろうじて聞き取れた情報から無職・塩野直樹(当時26歳)を割り出し、事件から6日後の4月11日に東京都青梅市内の駐車場で車の中で寝ていた塩野を監禁容疑で逮捕した。
塩野は「奥多摩方面にドライブに行ったら、石田さんが急に暴れだして車外に出ていった。探したが見つからなかった」と供述した。覚せい剤の使用は認めたが、監禁や殺害については否認した。警察は塩野がいつも覚せい剤を使う時に利用していた山梨市の山林を中心に捜索を進めたところ、14日、石田さんのものと思われるブーツやショートバックなどが林道脇で発見された。しかし石田さんの遺体を見つけることはできなかった。ブーツには泥がついておらず、歩いた形跡が見られなかった。
塩野の車の中からは尿と血液反応も出ていることから、石田さんと塩野の間に車内にて何らかのトラブルが発生した可能性があるとみているが、遺体が見つからなかったため、殺人や監禁容疑での起訴は見送られ、覚せい剤取締法違反のみでの立件(懲役2年・執行猶予4年)となった。
塩野の車内からは「行方不明になっても、責任は問いません」と書かれた誓約書のようなものが大量に見つかっている。また、出会い系サイトの掲示板で覚せい剤を一緒に打つ女性を募っていたことも判明。「一緒に冷たいのを決めない」などと隠語で書き込みをし、女性を誘っていた。塩野が薬物に興味を持つ女性を誘い出し、連れ回しを繰り返していた可能性もあるとみており、誓約書を書いた女性の所在確認を進めている。
塩野は定職に就いていないにも関わらず、末端価格で10万円相当の覚せい剤約1.8グラムを所持。知人らに「ブローカー」と称していることから、誘い出した女性らを利用して現金を稼ぐなど、背後に大がかりな組織が関与している可能性も視野に調べを進めている。
<警視庁ホームページ>車両利用による女性監禁事件