未解決事件ファイル
インド・バラナシ邦人男性殺人事件(2014年3月) |
2014年3月14日午前8時15分ごろ、インドの観光名所バラナシで日本人男性・今里亜斗夢さん(当時23歳)が遺体で発見された。今里さんは3月11日に、インドの首都ニューデリーから入国。鉄道切符を入手後、タージマハルがあるアグラに宿泊している。今里さんは過去に1度インドへ行ったことがあり、今回は2回目だった。2週間ほど現地に滞在する予定だったという。
今里さんは発見前日の3月13日には観光名所のバラナシを訪れていることが分かっているが、当日宿泊した記録はなかった。今里さんが発見されたのはガンジス川の川岸で、地面に埋め込まれた竹の棒にくくられたロープが首に巻かれ、砂地の段差にもたれかかるような状態で亡くなっていた。
地元警察によると、今里さんの死亡推定時刻は3月14日午前2時から4時ごろで、死因は窒息死。今里さんに目立った外傷や争った形跡はなかった。遺体の脇に残されていたリュックサックの中からは、携帯電話、わずかな現金、たばこ、薬、手帳などが見つかった。
今里さんは事件の前日に日本にいる友人と無料通信アプリで普段通りの明るい様子でやり取りをしていたことが確認されている。さらに日本へ帰国するためのチケットも所持しており、自殺するような兆候は見当たらなかった。
その後、13日の夕方に地元の土産物屋を訪れた今里さんが店主と口論になっていたという目撃情報があった。口論の理由は、今里さんが店主に対して高圧的な態度を取ったことが原因と言われている。同日夜には、店主と今里さんがガンジス川の川岸にいるところを地元住民が目撃している。
このような状況から、今里さんが何らかの事件に巻き込まれた可能性も考えられたが、地元警察は早々に自殺と断定、捜査を打ち切っている。この背景には警察と地元マフィアとの癒着が関係していると言われている。バラナシにはマフィアが多く、警察は地元マフィアに賄賂で買収されるケースがあるという。警察が買収された事件に関しては表沙汰になることはなく、真相が分からないことが多い。
今里さんは長崎県大村市出身。中学を卒業後、陸上自衛隊の少年工科学校(現在の陸上自衛隊高等工科学校)へ入学している。工科学校を卒業後は東京都板橋区に住んでおり、大学進学を目指してアルバイトで生計を立てながら、勉学に励んでいたという。
今里さんの家族によると、今里さんは活発で友達も多く、自殺は考えられないという。真相を明らかにするために大使館を通じて現地当局への十分な捜査を申し入れているが、現在も真相は明らかになっていない。