未解決事件ファイル
大阪府豊中市女児ひき逃げ・死体遺棄事件(1992年4月) |
1992年4月29日午前6時ごろ、大阪府豊中市穂積にある宗教法人の敷地内で、吹田市千里丘上に住む幼稚園児・小倉優華ちゃん(当時5歳)が、頭や足から血を流し死亡しているのを、同教会の信者が見つけた。優華ちゃんは前日夕方から自宅近くで行方不明になっており、家族から捜索願が出されていた。
遺体の傷の状態などから、優華ちゃんは車にひかれ、同教会まで運ばれた疑いが強いとみている。教会は優華ちゃんの自宅から南西に約8.5キロの場所にある。優華ちゃんは同教会南門から約15メートル入った教会職員の2台の車の間に倒れていた。遺体遺棄後、数時間経過しているとみられる。両足はふくらはぎ側から強い力を加えられて骨折、右側頭部と右肩を強打していた。頭部に陥没骨折が2箇所あり、ほぼ即死の状態だった。右足にはタイヤ痕が残っていた。
周囲や周辺路上にはっきりした血痕はなかったことから、警察は自宅近くではねられ、車で同教会まで運ばれ放置されたとみている。優華ちゃんは発見前日の28日午後17時ごろ、「近くの公園に遊びに行く」と言い残して1人で外出した。18時ごろには母親が近くで自転車に乗っている優華ちゃんを見かけたが、その後行方が分からなくなった。
19時ごろには、社宅の自転車置き場に優華ちゃんの自転車が戻っており、警察は優華ちゃんが自転車置き場から自宅に帰る途中に事件にあったものと思われる。また、優華ちゃんのトレーナーに染み込んでいた水を分析したところ、吹田市江坂町にあるため池「前田池」で採取されたものと同じプランクトンが付着しており、犯人がこのため池で優華ちゃんの遺体を洗った可能性があることが分かった。
優華ちゃんはこの年の4月に幼稚園に入園。すべり台や花びらを使った色水作りなど、何にでも興味を示し、自宅からニンジンを持ってきては園内で飼っている2匹のウサギにあげるのが好きだったという。30日は初めての野外保育で近くの公園に散策に行くことになっており、楽しみにしていた。
死体遺棄、道交法違反容疑、そして2007年4月には殺人事件と全ての時効が成立。延べ約8600人を投入した捜査は終結した。