未解決事件ファイル
福岡市博多区妻殺害事件(2003年2月) |
2003年2月20日午後8時40分すぎ、福岡県福岡市博多区のホテル経営者の男性から「妻が行方不明になっている。居間の畳に血をふいた跡がある」と110番通報があった。駆けつけた警官が現場を調べたところ、台所の床下収納庫で妻の森藤サワ子さん(当時54歳)が死んでいるのが見つかった。
サワ子さんの首には絞められたような跡や頭部に殴られた跡があり、死因は頭や首を強く殴られた外傷性ショックと判明した。自宅からはサワ子さんの車が19日昼頃からなくなっており、犯人が乗って逃げたものと思われる。車は後に現場から9キロ離れた久山町の複合商業施設で見つかっている。
夫が20日夕方に帰宅した時、玄関の鍵は開いたままだった。サワ子さんの着衣に乱れはなく、物色された形跡もなかった。居間に大きな血だまりをふいた跡があり、台所へと血の付いた足跡の痕跡が残っていた。遺体が見つかった台所の床下収納庫は中の収納ケースが横にずらされ、遺体は床下の地面の上に横たわる形で置かれていた。犯人がケースを元の位置に戻して遺体を隠そうとしたものと思われる。森藤さん宅はこの2年で2度空き巣に入られており、現金数百万円を盗まれている。
その後、捜査段階で夫がサワ子さん殺害を自白。自宅でサワ子さんの頭部を棒状のもので殴り、両手で首を絞めるなどして殺害し、自宅の台所の床下収納庫に遺体を遺棄したとして逮捕、起訴した。
2005年4月19日、福岡地裁は起訴されていた死体遺棄及び殺人について無罪判決(求刑懲役18年)を下した。判決では、近所に住んでいる男女2人が犯行時刻より後に被告と挨拶を交わしているという証言について、当日の天気や具体的な行動があげられていて信用性が高いとした。そして自白調書についても逮捕から起訴までの間に自白と否認を繰り返しており、秘密の暴露もなく信用性は低いとした。これらのことから被告に犯行は不可能と結論づけた。検察はこの判決に対して控訴せず、無罪判決が確定した。