未解決事件ファイル
| 名古屋市NPO法人代表殺人事件（2004年12月） |
2004年12月14日午前7時20分ごろ、愛知県名古屋市瑞穂区に住む人材派遣業の中川泰郎さん（当時56歳）が、自宅南側の車庫内で首から血を流して倒れているのを中川さんの長女（当時28歳）が発見した。中川さんは首を鋭い刃物で刺されており、横向きで倒れていた。頭や顔にも数カ所刺された傷があった。司法解剖の結果、死因は失血死だった。
車庫には道路から内部が透けて見えるブラインド型のシャッターがあり、発見当時は閉まっていた。中川さんの車はエンジンがかかっておらず、出勤のため車に乗ろうとした所を襲われた可能性がある。車庫はシャッターが閉まっており、中川さんは一番奥に倒れていた。衣服や車庫内に荒らされた形跡は見られないという。
中川さんは毎朝午前4時30分に出勤していた。14日も同じ時間に出勤したが、午前7時を過ぎても車庫から車が出てこないため、不審に思い長女が様子を見に行ったところ、倒れている中川さんを発見した。
中川さんは建設現場などに作業員を派遣する会社を経営するかたわら、ホームレスの自立支援を目的としたNPO法人を2003年9月に設立していた。設立準備を始めた2002年12月には、所有していた瑞穂区内の空き家が放火とみられる火事で全焼している。
2004年9月より「ホームレスの支援から手を引け」「金をよこせ。でないと殺すぞ」といった脅迫電話が相次いでいた。9月中旬には何者かに電話で呼び出され、自宅近くで3人組の男に車で連れ回されたうえ、公園で首を切られて数日間入院している。
警察はホームレス支援を巡って利害を持つ者とトラブルがあったのではないかとみている。名古屋市内でホームレス支援をしている団体関係者によると、近年ホームレスの増加に伴い、暴力団関係者らがホームレスに宿泊場所を提供、代わりに生活保護費の大半を巻き上げるケースがあるといい、「（暴力団関係者の）恨みをかったのでは」と話している。
