未解決事件ファイル
仙台市モーテル従業員殺人事件(1985年3月) |
1985年3月25日午前6時45分頃、宮城県仙台市中田町(現·太白区中田町)のモーテルの客室で、従業員の佐々木ヤチヨさん(当時52歳)が頭から血を流して倒れているのを出勤してきたモーテル親会社のスタッフが発見した。すぐに警察と救急車が現場に駆け付けたが、佐々木さんは既に亡くなっていた。
警察の調べによると、凶器は部屋に備え付けられていた灰皿と、同じく備え付けの丹前(防寒用の和服)の紐。灰皿で滅多打ちにされた後、紐で首を絞められて殺害されたと警察は見ている。遺体には布団が掛けられており、首には紐が三重に巻かれていた。佐々木さんの着衣に乱れはなく、争った形跡もなかった。
司法解剖の結果、死因は窒息死である事が判明した。部屋には灯油がまかれていたが、火は付けられていなかった。また、部屋には犯人のものと見られるセブンスターの吸い殻1本が残されており、血液型はO型であることが判明した。
犯人は事務所からタバコの売り上げ代5000円を盗んだだけで、佐々木さんの財布が入っていたカバンなど、その他の現金を物色した形跡はなかった。警察は怨恨による犯行の可能性も疑い、佐々木さんの知人へ聞き込みを行ったが、有力な手掛かりは得られなかった。警察が佐々木さんの同僚や友人に話を聞いても、一様に「温厚で真面目な人だった」と答えたという。実際、佐々木さんは病気で入退院を繰り返していた夫の為、昼夜問わず働き家計を支えていたという。
警察はいくつかの説を考えた。1つ目は、強盗説。5000円のみを奪って逃走したのは、「佐々木さんのカバンや他の現金類に気づかなかったから」、もしくは「モーテルの代金を踏み倒すため」という理由が考えられた。
2つ目は、殺人自体が目的の快楽殺人説。現場となったモーテルは、深夜になると店員が1人勤務になる。事件当日も、佐々木さんは24日午後4時からパート仲間2人と勤務していたが、25日午前1時より1人で勤務していた。
また、このモーテルはロビーが存在せず駐車場から直接部屋に入る構造だった。料金精算の際も、客室のドアに付けられた小窓を通してやり取りするだけで、本来なら従業員と客は顔を合わせず、部屋に入ることもないという。
結局、警察は手掛かりはおろか犯人の動機すら掴むことが出来ず、2010年3月に時効が成立した。