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高知市電気店経営者強盗殺人事件(1990年7月)

1990年7月24日午後11時45分ごろ、高知県高知市新本町2丁目に住む「ダイイチニチドー電気」経営の橋本信治さん(当時62歳)が同市愛宕町1丁目の同店裏側の駐車場で死んでいるのを家族が見つけた。橋本さんは顔や胸を刃渡り10センチ以上のナイフ様のもので刺されていた。全身が血まみれになっており、駐車場の広い範囲に血痕が残っていた。

橋本さんは30カ所近くを切りつけられ、店の売上金約60万円が入った2つのショルダーバッグもなくなっていた。執拗に刺す残忍な手口などから、捜査本部は確定的な殺意があったとみて、顔見知りによる怨恨もしくは物取りの両面から捜査を進めた。

これまでの調べでは、同日午後9時40分ごろ、店のシャッターを閉める橋本さんの姿が通行人に目撃されたのが最後の足取りとなっており、犯行時刻は、それから同10時半ごろの間とみられる。

有力情報として浮上したのが、犯行時刻前後の午後10時すぎ、現場から東に約2.2キロ離れた同市南御座のスーパーに、上着にべっとりと血のりを付けたまま服を買いに来た男だった。男は上着を買うと、興奮した様子で足早に立ち去ったという。捜査本部は、この「血のりの男」の割り出しを進めたが、事件と結びつく証拠も発見できず、身元を特定できなかった。

県警はこれまでに総人数約2万人から事情聴取したほか、橋本さんとトラブルがあったとみられる人物などをピックアップし内偵したが、いずれも決め手を欠いた。現場周辺での不審者の目撃情報も乏しく、犯人の遺留品も発見できず、捜査は難航。季節柄、近隣の家がエアコンをつけ窓を閉め切っていたため、悲鳴などを聞いている人もいなかった。

事件発生から15年が経過した2005年7月24日、殺人罪の公訴時効が成立。捜査本部を置く高知署はこれまで延べ7万人の捜査員を動員し捜査を進めてきたが、容疑者の特定には至らなかった。



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