未解決事件ファイル
千葉市若葉区夫婦失踪事件(2001年5月) |
2001年5月18日午後6時頃、千葉県千葉市若葉区貝塚町に住む会社員の杵渕清さん(当時59歳)と、パート勤務の妻・郁子さん(当時54歳)の夫婦が行方不明になった。清さんが所有している乗用車 (シルバーのマツダファミリア)も自宅から消えていた。2日間連続で無断欠勤したのを不審に思った清さんの会社の上司が22日に自宅を訪れ、様子がおかしかったことから警察に通報。その後長男も自宅に駆けつけ、警察とともに室内に入り事件が発覚した。
室内には夫婦の姿はなく、廊下と風呂場に血痕が発見された。警察の調べで廊下の血痕は清さんのもの、 風呂場の血痕は都子さんのものであることが判明。風呂場の血痕は致死量に達していた。いずれの血痕もふき取ったり洗い流したりしてあったが、ルミノール反応で血痕と分かった。
郁子さんは「警察の人が来る」ことを理由に、5月15~18日の間仕事を休んでいた。郁子さんは知人らに「 警察の人から「お宅は泥棒に狙われている」と言われ、通帳の保管場所などを事細かに話した」「朝から晩まで話をした」と話している。しかし警察で調べたところ、該当する警察官はいなかった。また郁子さんは、失踪前に親しい友人宛てで「今日は人生で3本の指に入る辛いことが起きた」というメールを送っている。
郁子さんが知人に話した通り、杵渕さん宅には5月15日から警察官を名乗る男が出入りしていた。男は県警の科学捜査研究所のものだと名乗り、「近所で犯行に及んだ空き巣犯の一人が逮捕された。男性宅も狙っており、残る仲間が犯行に及ぶ可能性がある」と指摘。家の中に上がりこみ、鍵を増やしたほうが良いという防犯指導をした上で、通帳や金庫のありかなどを聞き出した。郁子さんはニセ警察官に言われるまま、通帳番号や暗証番号などを全て教えてしまった。
【18日の動き】
18日午前7時に清さんが出社。午前8時ごろ、都子さんからパートの職場に「30分遅れる」と電話があったが、午前9時20分ごろ、男の声でパートの職場に「親戚に不幸があったので、2、3日休む」と電話があった。この男は清さんを装っていた。通話記録では自宅から発信されていたが、この時間、清さんは埼玉県三郷市の会社にいたことが確認されている。
午後1時45分頃、清さんの自宅から約5キロ離れた千葉市中央区の銀行の窓口で、清さんの名前を名乗る男が現れ、清さんの定期預金を解約し、現金350万円全額を手にした。男は窓口の女性従業員に清さんの名前を名乗った。防犯カメラに映った男は年齢50〜60歳、身長約165センチ。デニム地と見られるシャツを着用、帽子に白いマスク、眼鏡をかけており、首が太く、耳がつぶれていた。かぶっていた帽子のマークは画像解析の結果、中日ドラゴンズの野球帽を示す「C」と「D」が合わさったマークに似ていた。
清さんは午後6時に勤務先を退社。午後7時半頃、清さんと男が談笑しながら自宅に入って行くのを近所の住民が目撃している。午後8時頃には、清さんの家から大きな物音がするのをやはり近所の住民が聞いている。同じころ、都子さんの友人が杵渕さん宅に電話したが、男が出て「いま伏せっています」と話したという。
【19日〜20日の動き】
清さんの車の走行記録が警察のNシステムに残されていることが判明。19日午後2時頃に千葉市内を国道357号で木更津方面に南下、午後4時には東京のJR錦糸町駅付近、その後埼玉県戸田市の美女木ICから高速に乗り、関越道から上信越自動車道に入り、午後7時に佐久ICで降りている。13時間の空白を経て20日午前8時に長野自動車道の塩尻IC付近を通過、午前10時には愛知県の小牧東ICで降りているのが記録されている。
事件発覚から4ヶ月後の2001年9月に名古屋市内の路上で清さんの車が発見され、車内から血痕が見つかった。発見された場所は道路脇に不要になった車を捨てていく違法駐車の多い場所で、これらの車に紛れ込むようにして停められていた。車内の指紋はすべて拭きとられていた。後部座席からは尿反応が、トランクからは夫婦の血痕が見つかった。しかし夫婦の行方は現在も不明のまま、犯人に関する重要な手がかりも見つかっていない。
<千葉県警ホームページ>夫婦失踪事件(上から3件目)