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習志野市茜浜女性殺害事件(2013年6月)

2013年6月24日午前10時40分ごろ、千葉県道千葉船橋海浜線遊歩道脇の緑地帯内において、女性が倒れているのを清掃員が発見し110番通報した。女性の身元は近くのマンションに住む派遣会社員の広畠かをりさん(当時47歳)と判明。広畠さんの首には圧迫された痕があり、激しく争った形跡もあることから千葉県警習志野警察署は殺人事件と断定、捜査本部を設置した。

広畠さんは遺体発見前日の23日午後10時から船橋市高瀬町の食品加工工場で勤務する予定だったが、無断欠勤していたため同僚が携帯電話に電話したものの連絡はとれなかった。また、広畠さんは23日正午には自宅マンションの行事に参加していた。午後9時過ぎには自宅近くを現場方向に歩く広畠さんの姿が防犯カメラで確認できている。広畠さんの自宅から会社までの距離は、徒歩で約30分かかることから、マンションを出て出勤予定の工場に向かう途中の午後9時半頃に、何らかのトラブルに巻き込まれた可能性が高いと思われる。

現場には広畠さんの所持品が散乱しており、すぐ近くに投げ捨てられていた財布からは小銭も含めて全ての現金が抜き取られていたため、警察は広畠さんと面識の無い人物による金銭目的の“流し”の犯行との見方で捜査を進めていた。しかしながら現場は人通りが少ない遊歩道であり、街灯などは無かった上に草木が生い茂っていて見通しも悪く、更に事件の発生時間帯が夜であったため有力な目撃情報に乏しく捜査は難航していた。

2014年2月26日には警察庁が設ける捜査特別報奨金制度の対象事件に指定され、事件解決に繋がる情報を提供した者には300万円の懸賞金が支払われることとなったが、その後も事件解決の手掛かりとなる情報は寄せられなかった。

事件発生から3年近くが経過した2016年3月3日、捜査本部は別の窃盗事件で府中刑務所に服役していた住所不定で中国国籍の無職、楊暁春(当時50歳)が広畠さん殺害に関与した可能性が高まったとして、楊の出所当日に殺人容疑で逮捕した。

県警によると周辺の防犯カメラの画像の解析や遺留物の分析などを続けてきた結果、楊が浮上。また、広畠さんの体に付着していた微量のDNA型が楊のDNAと一致したため、逮捕に踏み切った。楊は事件当時現場近隣に住んでおり工場に勤務していたが、事件後に転居し行方が分からなくなっていた。楊と広畠さんとの間に面識は無かった。前述の通り財布から現金が盗まれていたため、捜査本部は強盗の容疑でも男を追及していた。

勾留期限満期の同年3月24日、千葉地検は楊を処分保留で釈放するとともに、在留資格が切れているとして身柄を東京入国管理局に引き渡した(中国に退去強制)。処分保留とした理由について「起訴に至るまでの証拠が集まらなかった」としており、6月には嫌疑不十分で不起訴処分となった。事件解決までには延べ5万6千人の捜査員が投入されていた。日中間には、容疑者を受け渡す国際ルールの「犯罪人引渡し条約」が結ばれていないことから、楊は中国で普通の生活をしていると思われる。



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