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尼崎市長崎屋火災(1990年3月)

1990年3月18日12時30分頃、兵庫県尼崎市神田中通4丁目にある「長崎屋尼崎店(Big-Off尼崎店)」で、4階インテリア売場に展示されていた商品のカーテンから火の手が上がっているのを同階寝具売り場にいた女性が発見した。他の店員らと共に消火器や屋内消火栓設備による初期消火を試みるが、火の回りが早く、いずれも猛火と猛煙の前に消火を断念した。

同時刻に5階事務室より119番通報後、およそ10分で消防隊が到着するが、既に4階はフロア全体が炎に包まれていた。4階よりも下層階にいた客は、従業員らの誘導で建物の外へ避難を完了したが、上階の5階に滞在していた客や従業員計22人が逃げ遅れたままとなった。4階と5階の防火扉が稼働せず、火災によって発生した煙は5階へ広がっていった。

5階に滞在していて逃げ遅れた者のうち、1人は階段から避難し、5階事務室と同じ階にある従業員食堂の窓からは4人が救出され、5階窓から隣の建物へ飛び降りた2人は重傷を負ったものの、その後に消防隊によって救出された。この件火災による死者は15人(従業員12人、客3人)、重軽傷者6人となった。死亡者計15人は、5階の従業員食堂や同階のゲームコーナーで命を落とした。

兵庫県警の検証結果により、出火原因は、火の気のないカーテン売場から火の手が上がったことなどから不審火によるものと断定された。火災発生から約2か月後には、店内や外部での目撃証言などから放火に関与した疑いがある不審人物6人の似顔絵が公開された。

火災があった長崎屋尼崎店は、1970年(昭和45年)に開業した地上5階・地下1階の大型商業施設で、1988年(昭和63年)11月からは、ディスカウント業態の「Big-Off尼崎店」として営業していた。

同店では火災の前年に消防訓練を2度実施していたが、普段から火災報知器の誤作動が多発していたため、実際に起きた火災に際し、従業員の初動対応が遅れ、初期消火に失敗した。火災報知機を始め、防火扉、避難通路といった設備は、各法令の基準に従って適切に設置されていたが、階段や防火扉、避難通路の前には、テレビ等の商品が入った段ボールが積み置かれており、階段を倉庫代わりに使っていた実態があった。これらの段ボール類が防火扉を遮る形になり、火災発生時に防火扉が全て閉まらず、火災によって発生した多量の煙を5階に蔓延させる結果となった。

この事件による捜査対象者は延べ約1900人に上ったが、不特定多数の客や業者らが出入りする白昼営業のスーパーマーケットの店内における犯行のため、不審人物の特定は困難を極め、犯人像や動機の解明につながる遺留品も無く、犯人検挙に繋がる有力な情報も乏しかったことから捜査は難航した。

有力な手がかりが得られないまま容疑者の検挙には至らず、発生から15年後の2005年3月18日に公訴時効を迎えた。長崎屋尼崎店は火災発生直後から無期限の休業となり、そのまま営業再開することなく1990年11月に閉鎖され、1993年に建物も解体された。その後は長らく更地となっていたが、2004年に跡地にマンションが建設された。




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